2012年6月18日月曜日

新生児を低栄養・低体温から守れ! 重い脳障害に至る危険性の周知と予防への取り組みを


公明党中野区議団の梁川妙子幹事長から「本日のテレビ番組(TBSのNスタ)でカンガルーケアの問題点が取り上げられる」と聞き、私も番組を見ました。カンガルーケアの考え方から、出産直後、新生児を抱き母乳を与えるよう言われた母親が、しばらくして子どもが呼吸していないことに気づき、結果、後遺症として重い脳障害に子どもが侵されてしまったケースが番組で紹介されました。
こうした状況にある「患者・家族の会」(出産直後のカンガルーケア・完全母乳等により脳障害を受けた新生児を抱える患者・家族の会)の会合が6月2日、東京で開催されました。私も「患者・家族の会」の方々と懇談させていただきました。また「患者・家族の会」の方々は、このほど、厚労省にも提言書を提出しました。
東京での「患者・家族の会」で講演し、今回のテレビ番組にも出ていた福岡の産婦人科・麻酔科専門医の久保田史郎先生は、新生児の低栄養・低血糖・低体温を防止する方策を提唱して実践し、重い脳障害や発達障害に至る状況の予防や、新生児の突然死症候群の予防に取り組んでいます。
久保田先生の病院では、出産後、新生児を保育器に入れて低体温になるのを防ぎ、さらに、糖水や人工乳を新生児に補給して低栄養状態になることを防いでいます。母乳を否定しているのではなく、すぐに母乳が出ない母親もいることから、そのような対応をしています。新生児は黄だんになることが普通だと言われていますが、久保田先生の病院の新生児は黄だんの症状が出ません。
久保田先生は、新生児の低栄養・低血糖状態が脳に与える影響と、近年急増している発達障害の相関についても指摘しています。また一方で、着せ過ぎよる子どもの体温上昇に、死に至る危険性が潜んでいることも指摘しており、このことを母子健康手帳に書き込むべきと主張しています。
私は福岡の久保田先生の病院を2回訪れるなど、さまざまな機会を通じてお話を伺ってきました。そして、平成21年12月の都議会本会議で「低血糖症」問題の関連質問として取り上げました。以下、質問です。
「福岡に久保田史郎先生という産科、麻酔科の専門医がいます。出生直後の赤ちゃんが低体温、低血糖に陥る危険性を指摘し、病院開業以来すべての出産データを記録し、周産期医療での予防医療に力を注いでいます。
具体的には、新生児の低血糖、極度の体重減少、重症黄疸などは、摂取カロリーが基礎代謝量に満たない低栄養が原因と指摘し、低体温になることを保育器で防ぐとともに、出生直後から糖水や人工乳などで栄養を補い、低血糖を防いでいます。
同医師は、新生児の低血糖症が怖い理由は、大人と違い、けいれんなどの症状がなく、見えないところで低血糖が静かに進行し、脳神経細胞の発育に障害を与えるからであると、保育管理の重要性を訴えています。さらに、妊産婦の生活習慣を整えること、例えば、運動不足を補う水中散歩や食生活改善も強調しています。周産期医療の中に低血糖予防の視点を取り入れることは大変重要と考えますが、見解を求めます」。


この時は、都側から具体的な取り組みを進める答弁はありませんでしたが、取り上げたことは間違いではなかったと考えています。