2015年5月19日火曜日

ペットと高齢者が一緒に暮らす特別養護老人ホーム「さくらの里山科」を訪問しました

 高倉良生は5月19日、神奈川県横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里山科」を訪問しました。高齢者がペットの犬・猫と一緒に入居できる全国でも珍しい特養です。行き場を失い、保健所に保護された犬・猫も受け入れています。施設で暮らすペットたちは、高齢者の生きる力を蘇生させる存在になっています。

 特養を運営する社会福祉法人「心の会」は平成12年から主に在宅介護事業に取り組んできました。その中で、ペットを飼っている在宅高齢者自らが介護が必要になったとき、ペットの世話に困る姿を数多く見てきました。泣く泣くペットを保健所に送り、その後、生きる気力を失って亡くなった人もいたそうです。

 そこで、平成24年に特養を開設するにあたり、高齢者がペットと同居できるフロアを設け、「伴侶動物福祉」と呼ばれる独自の取り組みを始めました。2階にある4つのユニットを犬・猫それぞれと暮らせる部分とし、動物嫌いやアレルギーのある人との居住スペースを明確に分けました。

 高齢者が飼っていた犬・猫と一緒に入居できるほか、高齢になってペットを飼うことをあきらめていた人に再びペットと一緒に暮らす場も提供しています。そのため、保健所に保護された犬・猫をボランティア団体を通じて引き取り、施設で飼育しています。

 里親が見つかりにくい高齢や障害のある犬・猫、中型の雑種犬を積極的に引き取っています。これは動物の殺処分減少にもつながっています。

 施設長の若山三千彦さんによれば、高齢者がペットをなでたり、一緒に遊んだりすることで、身体機能が向上するケースも多いそうです。また、感情
の起伏が少なかった人が、ペットの名前を呼び、自ら近寄っていくことで、生きいきとした感情が蘇り、認知症予防につながるなど、ペットと一緒に暮らすことでしか得られない効果があるようです。

 犬と暮らすユニット、猫と暮らすユニットの生活の様子を見ましたが、犬・猫が普通の家庭と同じように自然に暮らしており、一緒に生活する高齢者の笑顔が印象的でした。職員についても、希望を募って動物好きの人を配置しているとのことでした。

 高倉良生は先ごろ、東京・世田谷区にある都の動物愛護相談センターを訪問しましたが、飼い主の死亡や入院などによって同センターで犬・猫を引き取るケースが増えていること、認知症や体力の衰えなどで動物の世話ができなくなった高齢者の相談が多くなっている、という現状を聞きました。

 高齢者が飼育するペットの課題は、高齢者介護・福祉の側面からも解決を図っていくことが求められています。都における今後の施策展開を検討する上で、「さくらの里山科」の取り組みは非常に示唆に富む内容でした。